2026年9月11日
山口の温泉39か所
伝説が残る湯をたどる地図
山口の古い湯には、見つけた者の話が残っています。
傷ついた白狐が、毎晩、寺の池に足をつけに来ていた湯田。
猟師に射られた白猿が、岩あいの湯で傷を洗っていた俵山。
沼に棲んでいた青い龍が大地震で死に、村人がまつると湯が湧いた川棚。
はじまりには、どれも生き物がいます。
新しい湯にも来歴があります。阿武川の湯は、ダムの工事中に雪の積もらない一角を見つけ、掘ってみたら湧きました。
県内39の湯を、地図と一覧にまとめました。
絵のついたアイコンは、湯に物語が残る場所です(19か所)。
「物語が伝わる湯」を選ぶと、伝説の残る湯だけになります/地図:OpenStreetMap
物語が伝わる湯19か所

願成就温泉静御前が没したと伝わる地
義経の恋人・静御前は、この徳佐で最期を過ごしたと伝わる。浴室の名は「静の湯」で、敷地には静御前と弁慶の像が立つ。名は近くの山にあった願成寺から。平成七年七月七日、島根との県境にひらいた。
日本、〒759-1511 山口県山口市阿東徳佐上2−95

油谷湾温泉楊貴妃が流れ着いた岬の湯
唐の天宝十五年(756)、安禄山の乱で処刑されるはずだった楊貴妃を近衛隊長が逃がし、その舟が向津具半島の唐渡口に流れ着いたという。里人の看病もむなしく亡くなり、玄宗皇帝が霊を弔うため二体の仏を送ったとされる。二尊院には一七六六年に住職が古老から聞き書きした古文書が二冊、今も残る。湾を見下ろす高台にあり、朝夕で島影の色が変わる。
日本、〒759-4505 山口県長門市油谷伊上10130

湯免温泉兎が傷を癒した「夢」の湯
傷ついた兎がこの湯で治しているのを行商人が見つけたと伝わり、浴場は「うさぎの湯」と呼ばれる。もうひとつ、弘法大師が唐からの帰り、夢で「三隅の里に効能の高い湯が湧いている」と告げられ、夢の湯だから「ゆめ」、転じて「湯免」になったという話も残る。放射能泉。
日本、〒759-3802 山口県長門市三隅中251−6

阿武川温泉雪の積もらない一角を掘った
阿武川ダムの工事のとき、ダムの下流に雪の積もらない一角があるのを関係者が見つけた。地面が温かいからで、掘ってみると湯が湧いた。肌にやさしいアルカリ性単純温泉。露天風呂は加温も加水もしない源泉そのまま。
日本、〒758-0141 山口県萩市川上4892−1

長門湯本温泉住吉大明神が授けた湯
応永三十四年(1427)、大寧寺三世・定庵殊禅禅師のもとに、老翁の姿をした住吉大明神が現れた。禅師が菩薩大戒と袈裟を授けると、大明神は礼に「大寧寺から八丁南に湯を湧かした」と告げて天に消えたという。県内最古の温泉。源泉は今も大寧寺が持ち、共同浴場「恩湯」がある。
日本、〒759-4103 山口県長門市深川湯本 長門湯本温泉

俵山温泉白猿が傷を洗った療養の湯
応永年間、猟師が射た白猿が岩にまたがって清泉を傷口にかけているのを見つけた。近づくと猿は光を放って仏体となり、紫雲に乗って去ったという。寺では、弘法大師の誓いにより薬師如来が白猿に化けて霊泉を示したのだと解いた。pH9.9の高いアルカリ性で神経痛やリウマチに効くとされ、千年のあいだ湯治場として続いてきた。宿に内湯を持たず外湯へ通うかたちが今も残る。
日本、〒759-4211 山口県長門市俵山 俵山温泉

一の俣温泉蛍の育つ水と、pH10の湯
初夏、宿のそばの一ノ俣川に蛍が飛ぶ。木屋川のゲンジボタルは国の天然記念物。同じ土地から湧く湯はpH10.0の強いアルカリ性で、県内屈指の美肌の湯といわれる。明治四十四年に末岡氏が源泉を掘り当てた。
日本、〒750-0403 山口県下関市豊田町 一ノ俣 1711

石船温泉神の船が石に変わった地
神様が乗った木の船が渋川で岩に挟まれ、石の船に変わったという言い伝えが残る。萩藩の『御国廻御行程記』には、坂根の与左衛門が山を開いていて石の船を掘り出し、中から神鏡が十六面出てきたとある。錦川の支流・渋川のそば、小高い丘の上の「憩の家」。
日本、〒745-0302 山口県周南市鹿野上1667−4

於福温泉弘法大師が開いたと伝わる
弘法大師が開いたという言い伝えが残る。昭和七年にボーリングで源泉が湧き、昭和三十一年に公衆浴場ができた。今は道の駅おふくに併設され、秋吉台や別府弁天池からも近い。
日本、〒759-2301 山口県美祢市於福町上4383−1

蛍街道西ノ市日本で最初のホタル舟
豊田町は数万匹の蛍が舞う「ホタルの里」。日本ではじめてホタル舟が出た木屋川のほとりにある。pH約9.5の弱アルカリ性で、肌がなめらかになる。
日本、〒750-0441 山口県下関市豊田町大字中村876−4

湯田温泉狐が通うほどやわらかい湯
室町時代、大内義興の頃。傷ついた白狐が毎晩、寺の池に足をつけに来ていた。和尚が池の水を調べると温かく、掘ると湯がこんこんと湧き、土の中から薬師如来の金像が現れたと伝わる。無味無臭のアルカリ性単純温泉で、肌によく馴染む「美肌の湯」。狐が通ったのも、この湯のやわらかさゆえかもしれない。町なかに無料の足湯が六か所ある。
日本、山口県山口市 湯田温泉

天宿の杜桂月大内氏の祖が見つけた湯
湯の口温泉。飛鳥時代からおよそ千四百年の歴史があると伝わる。大内氏の祖・琳聖太子がこの地で効能のある湯を見つけ、湯の口に、幸福と美と富をあらわす吉祥天女を祀ったという。秋吉台と秋芳洞に近い。
日本、〒754-0122 山口県美祢市美東町真名1071

川棚温泉地震で沼が熱湯になった
欽明天皇の頃、このあたりは大きな沼で、青い龍が棲んでいた。ある日の大地震で沼の水が熱湯に変わり、青龍は死んでしまったという。地震で熱い水が地表に上がるのは実際に起きることで、この話は温泉の湧く仕組みそのものを語っている。寿永二年(1183)、領主の平定盛が湯屋を建てて庶民に開いた。名物「瓦そば」はこの町で生まれた。
日本、〒759-6301 山口県下関市豊浦町大字川棚 川棚温泉

ぴーすふる青竜泉青龍の名を継ぐ元湯
川棚温泉のもとの湯。名は、この地に伝わる青龍伝説からきている。湯量が豊富で、昔ながらの公衆浴場のかたちを守っている。
日本、〒759-6301 山口県下関市豊浦町大字川棚5159−2

湯野温泉皇子の熱を癒した霊泉
神功皇后の御子・誉田別皇子の高熱を癒したという霊泉が起源と伝わり、千七百年をこえる歴史をもつ。戦国の天正年間には、河村三五兵衛が朝晩に湯気が立ち冬も雪の解けやすい場所を見つけ、夢に薬師如来が現れて湯が湧いたという。六月はじめには「さんさんロード」でホタルが飛ぶ。
日本、〒745-1132 山口県周南市湯野4255−1

呼鶴温泉鶴を呼ぶ名の湯
名は、市内の八代地区に飛来するナベヅルにちなむ。八代は本州でただ一か所のナベヅル渡来地で、国の特別天然記念物に指定されている。昭和二十七年に藤井吉造が開いた。世界でも屈指のラジウム含有量で、飲用の許可も受けている。
日本、〒745-0631 山口県周南市安田1814番地

三丘温泉鶴が癒えた療養泉
負傷した鶴がこの湯で傷を癒したという言い伝えが残る。アルカリ性単純硫黄温泉で、硫黄とラドンを含む県内でも珍しい泉質。療養泉として効果が大きいとされ、国民保養温泉地と国民保健温泉地に指定されている。近くの島田川は明治まで木材の集散地で、船頭たちが手足を温めたとも。
日本、〒745-0641 山口県周南市小松原1694−1

大城温泉神が笠を置いた島の湯
笠戸島の名は、厳島の神がこの島に笠を置いたという言い伝えに由来する。その島の高台にあり、海と一続きに見えるインフィニティ風呂がある。「潮騒の湯」の名で親しまれる。
日本、〒744-0001 山口県下松市笠戸島14−1

日之出温泉平家の武者が渇きを癒した
源平の合戦のころ、平家の武者がここの温かい湧き水で渇きを癒したと伝わる。もとは関門海峡に突き出た岩場で、大正から昭和にかけて埋め立てられた。水産会社が社員のために掘ったところ源泉に当たり、昭和二十八年に公衆浴場となった。下関の市街地でただ一つの天然温泉の銭湯。
日本、〒750-0067 山口県下関市大和町1丁目12−12
そのほかの湯20か所

田万川温泉県の北の端の湯
萩市の最も東、島根との境に近い田万川にある。道の駅に併設された「憩いの湯」。
日本、〒759-3112 山口県萩市下田万1740−1

鹿島の湯日本海に沈む夕日の湯
名は、浴場から見える鹿島から。道の駅阿武町に併設され、日本海に沈む夕日を眺めながら入れる。
日本、〒759-3622 山口県阿武郡阿武町奈古2249

はぎ温泉二〇〇四年に掘った新しい湯
二〇〇四年に掘り当てた新しい源泉。これをきっかけに、自家源泉をもつ市内の宿とあわせて「萩温泉郷」と呼ばれるようになった。萩城下から歩ける距離にある。
日本、〒758-0011 山口県萩市椿東385−8

黄波戸温泉海の中に湧いていた冷泉
もとは海の中に湧く冷泉だった。昭和三十年にボーリングを行い、二年後に村営の入浴施設ができた。深川湾と青海島、日本海を見晴らす高台にある。
日本、〒759-4401 山口県長門市日置上3137−1

深谷峡温泉錦川の上流の隠れた名湯
錦川の支流・宇佐川の上流、宇佐郷にある。ラドンの含有量が高い隠れた名湯。
日本、〒740-0902 山口県岩国市錦町宇佐郷1075

らかん高原温泉標高千メートルの高原の湯
標高1,109メートルの羅漢山の中腹、らかん高原にある。キャンプ場やスカイパークと並ぶ。
日本、〒740-0903 山口県岩国市錦町大原羅漢699−5

柚木慈生温泉地名からとった名の炭酸泉
名はこのあたりの地名から。温泉法の基準の八倍をこえる遊離二酸化炭素を含む、全国でも珍しい天然の炭酸泉。飲用もでき、昔ながらの湯治湯として通う人がいる。島根との県境に近い山中の一軒宿。
日本、〒747-0402 山口県山口市徳地柚木2178番地

宮野温泉かつての奥湯田温泉
昭和三十九年に温泉センターが開き、湯田温泉にちなんで「奥湯田温泉」の名で知られた時期がある。ぬるりとした湯ざわりの単純温泉で、入浴料は百円。
日本、〒753-0001 山口県山口市宮野上1222

錦帯橋温泉錦帯橋を見下ろす一軒の湯
錦帯橋を見下ろす高台にあり、湯を引くのは岩国国際観光ホテル一軒だけ。朝もやの橋や夜のライトアップを湯から眺められる。
日本、〒741-0062 山口県岩国市岩国1丁目1−7

島地温泉島地川を眺めるかけ流し
国道376号ぞい、島地川の景色を眺めながら入れる天然かけ流しの単純温泉。一度閉じたが、地区の交流拠点として再びひらいた。
日本、〒747-0522 山口県山口市徳地島地2102−4

吉見温泉畑の湯と呼ばれた冷泉
もとは「吉見上浦冷泉」「畑の湯」と呼ばれた。大正二年に石の浴槽が設けられ、昭和四十三年に温泉センターが開いた。今はキャンプ場も併設されている。
日本、〒759-6524 山口県下関市吉見上395−1

長沢温泉銭を鋳た里のラドン泉
長沢池は慶安のころ、代官の東条九郎左衛門が築いたため池。あたりの地名・鋳銭司は、平安時代にここで銭を鋳ていたことに由来する。池を一望する高台にあり、ラドンを含む単純弱放射能冷鉱泉。
日本、〒747-1221 山口県山口市鋳銭司2296

天然温泉みちしお二つの源泉をもつ国道の湯
玉喜温泉と糸根温泉、二つの源泉をもち、ラドンを豊富に含む。国道2号ぞいで長時間ひらいており、貝汁定食が名物。
日本、〒757-0012 山口県山陽小野田市埴生2216−7

阿知須温泉干拓地の一軒宿
きらら浜に近い阿知須の温泉宿。
日本、〒754-1277 山口県山口市阿知須源河区7418−8

くだまつ健康パーク温泉つきの遊べる施設
温泉のほかにプールやボウリングもある大型の施設。
日本、〒744-0021 山口県下松市平田448 くだまつ健康パーク新館 1階

秋穂温泉車エビの里の海を望む湯
海抜七十メートルの中道山の中腹にあり、瀬戸内海を見晴らす露天風呂がある。秋穂は車エビ養殖の発祥の地。
日本、〒754-1101 山口県山口市秋穂東10768−13

片倉温泉つぼ屋の正吉が持ち帰った水
江戸時代の後期、文化十四年(1817)。沢波川の上流で湧いていた水を、つぼ屋の正吉が持ち帰ったのが始まりと伝わる。今も湯治の宿として続く。
日本、〒755-0151 山口県宇部市西岐波5345

きらら交流館きらら浜のそばの湯
山口きらら博記念公園に近い交流館の温泉。
日本、〒756-0877 山口県山陽小野田市小野田 焼野海岸

遊湯ランド片添ヶ浜の海浜公園の湯
海浜公園のなかにある片添ヶ浜温泉。含弱放射能ナトリウム塩化物冷鉱泉。
日本、〒742-2512 山口県大島郡周防大島町平野1195

竜崎温泉安下庄湾に突き出た岬の湯
周防大島の東、安下庄湾に突き出た竜崎にある。塩化物強塩泉で、海の湯らしい濃さ。
日本、〒742-2805 山口県大島郡周防大島町東安下庄 町東安下庄685−2